音無サノトの空想録

なるべく価値のない人生を歩みたい

映画『アイの歌声を聴かせて』の感想 〜人間よりも人間っぽいAI〜

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重要なところには触れませんが若干ネタバレしてるかもです。。。

 

『アイの歌声を聴かせて』という映画を観てきました。

吉浦監督のオリジナルアニメーション。

もう私は『イブの時間』『サカサマのパテマ』という作品に出会えてから吉浦監督のファンです。

公開初日に観に行くつもりだったのですが、仕事が入ってどんどん後回しに。

今日、ようやく観に行けました。

 

いや〜、とりあえず泣きながら帰りましたね。

いい映画を見た後っていつもの帰り道が綺麗に見えたりするのですが、今日がまさにそんな感じでした。

 

「サトミ、いま幸せ?」

 

AIロボットのシオンがヒロインのサトミにそう問いかけるんです。

ものすごいストレート。

しかも何回も聞くんですよ。

それでサトミを幸せにするために、あれやこれやとやっていくんですが・・・

 

なんだろう。

AIなんだけど、すごく子供っぽいというか、純粋というか。

プログラムしている通りに動いているんだけど、プログラムらしくない感じ。

行動が融通効いてない感じがロボットっぽいんですけど、人間よりも人間らしいなって感じる部分があるんです。

 

うまくやろうとしてない。

命令されたから、よし実行しよう、という感じ。

「サトミを幸せにするぞ!」って行動していくんですが「じゃあ幸せって何?」と聞くと「わかんない」って即答するんですよ。

ここがすごく印象的。

 

幸せが何なのかわからないのに幸せのために行動する。

 

人間だったら「幸せになりたい」→「そもそも幸せって何だろう?」という発想になると思うんです。

だけどAIロボットのシオンは違う。

「幸せにしなさい」→「わかりました!実行します!」って感じ。

それが純粋で、かつ本来の人間の姿に見えるなって。

 

どっかの哲学者が幸せになるためには幸せを追い求めてはならない、なんて言ってたのを思い出します。

幸せになるために幸せとは何なのかを考えてしまう。

それは逆に幸せから遠ざかる行為なんですよね。。。

だって考えている間は答えが見つからないのですから。

シオンみたいに幸せが何なのかなんて知らなくても幸せのために行動した方が答えには近づくんです。

そんで時々、「いま幸せかな?」って問いかけたら幸せかもなって気づくのでしょう。

 

だからシオンは行動する。

そして、自分の行動がちゃんと結果に繋がってるかを確認するためにシオンはサトミに何回も聞くんです。

「サトミ、いま幸せ?」って。

 

吉浦監督の作品って『イブの時間』でもそうでしたが、AIが日常生活の中にあるんです。

それが当たり前で、だからこその人間との線引きみたいなルールがある。

今回の作品だとAIロボットの侵入禁止エリアがあったり、田んぼを植えるロボットの近くに「人間が近づくと緊急停止する恐れがあるので近づかないでください」という看板があったり。

AIが人間生活を支配してるとか、AIと対立するといったことがない。

あくまでAIは人間の生活をサポートするためにある存在として描かれているのです。

そこが好きでたまらない。

「ああ本当にこうなりそうだな」と思わせてくれる。

目覚ましAIに「カーテン開けて」というとカーテンが自動で開いたり、炊飯器に「今日のお米は柔らかめに」というと水の量を調節したり。

家電と会話している。家電を人間というかキャラクターとして扱っている。

そのAIたちと命令というよりは会話をして生活している人々を見て、こういう生活が来るのかな〜なんて思います。

 

まあ、もう既にできるんですけどね。

時間が来たら自動でカーテンを開ける機械とか売ってますしね。

声で家電を操作するというのも技術的にはできますし。

ただ現段階では機械が命令されていることを認識するために最初に特定のワードを言わなきゃいけないのが煩わしいですよね。

「Hey Siri」とか「OK Google」とか。

これがなくて普通に機械と話すようにやりとりできたら「いいな〜」なんて思います。

その「いいな〜」と思うやつを描いてくれている。

それがおもしろポイントでもあります。

 

見て後悔はしないと思うので、ぜひ多くの方に『アイの歌声を聴かせて』を見てほしいです。